日々雑景
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少女小説から世界が見える (川端有子)

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『少女小説から世界が見える─ペリーヌはなぜ英語が話せたか』
川端 有子 著、河出書房新社 刊




『英国レディになる方法』が面白かったので手に取ってみました。


所謂名作少女小説を作中の時代背景や文化的側面からわかりやすく読み解いていて、「若草物語」、「家なき娘」、「小公女」、「赤毛のアン」、「あしながおじさん」の5つの物語が取り上げられています。
自分が一番面白かったのはアニメで「ペリーヌ物語」となっていたエクトル・マロの「家なき娘」の章。
以前、友人からビデオを借りて全話まとめて観たことがありまして、子供の頃観た記憶とはまったく違った話でびっくりしたのですよ。昔は両親と死に別れてしまったペリーヌが健気に頑張って祖父の元に辿り着く感動の物語だと思っていたのですが、自分がいい歳になってから観てみるとペリーヌのサバイバル能力の高さやしたたかさの方に感動してしまいました。宿舎を出て自給自足生活を送るくだりは長い旅のシーンと同じ位印象に残っています。
この本でも原作のペリーヌのたくましさと彼女の生い立ちからくる様々な能力の高さについて、そして当時の社会状況についても詳細に語られていて、原作への興味もかきたてられました。
そのほか、「若草物語」の章ではペアとしての姉妹の考え方に目から鱗が落ちました。イメージとしてメグとジョー、ジョーとベスって組み合わせはすぐに浮かぶのですが、それ以外については考えたことがなかったので新鮮でした。



本書の内容とはあんまり関係ありませんが、「若草物語」における優美な長女と知的な次女って構図はオースティンの「高慢と偏見」のジェーンとエリザベスからヒントを得たのかな?と感じたのですけれど、実際の所はどうなんだろう。
あと、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの「わたしが幽霊だったとき」は「若草物語」、「九年目の魔法」は「あしながおじさん」の要素(パロディ?)があるので、そのへんをどなたか細かく考察してはくださらぬものかと考えています。凄く面白いと思うんだけどなぁ。

【2006/05/27 22:36】 論考 | トラックバック(0) | コメント(4) |

もうすぐ発売

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『ファンタジー万華鏡』(井辻朱美)


もうすぐ発売の筈なんでメモ。
【2005/05/20 23:31】 論考 | トラックバック(0) | コメント(0) |

読了本

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『ハプスブルク 記憶と場所』

トーマス・メディクス 著、三小田祥久 訳、平凡社 刊


ハプスブルクゆかりの五つの都市(ウィーン、プラハ、ヴェネツィア、ブダペスト、トリエステ)に関する論考。
歴史的な事柄よりも舞台となる各都市のイメージ(記憶)を語る事に重点がおかれているように思えました。
自分の知識の無さをいったん棚上げしたとしても、哲学的な明晰さで語られる文章はちょっと手ごわかったのですが、興味深い表現もちりばめられていて非常に魅力的でした。
一番印象に残ったのはウィーンを論じた章のこちらの部分(以下 P21より引用)


 バロック的な儚さと世紀末の夢遊病的な仮象界が互いに浸透しあう、特異なミクロコスモスとしての世界劇場。ウィーンはいまなおこの特質を保ちつづけている。屍体のモティーフは図像学的そして地形学的な道案内の役割を果たし、われわれを比類なき舞台に導く。ここでは、生の本質への問いは、遍在する死に結びつけられ、つねに新たに提起されては具体的形象のもとに体現される。そうして、ウィーンの特異性のもっとも深い部分があらわになるのだ。マニエリズム・バロック的な驚異の部屋(ヴンダーカンマー)のオブジェ群に看取される二重性とアンビヴァレンスに、われわれは繰り返し出合うのである。驚異の部屋(ヴンダーカンマー)では、芸術は博物学に接近し、玩具は聖遺物の隣に場所を占めている。不思議なもの、常軌を逸したもの、これらは研究の対象であるとともに讃嘆の対象でもあるのだ。突飛なコレクションのいわば万華鏡であるウィーンでは、驚異の部屋(ヴンダーカンマー)の生き残りが、ひっそりと、あるいは何気ない表情でたたずんでいるのに遭遇することも決して稀ではない。過去の時間が埃をかぶった奇妙なオブジェのうちに息づいているこの蒐集部屋を、夢の隠れ家と呼ばずして何と呼ぶことができよう。



ウィーンという都市における文化と精神性を洗練された云い回しで表現している箇所ですが、相反する物事を取り込みつつ両者の本質を捉えている点は、優れた文学作品にも通じる所があるのではないかなどと感じました。
錬金術とユダヤ文化の関わりを論じたプラハの章、幻影と印象を纏った劇場的な美を持ったヴェネツィアを描き出した章も印象的でした。


いちおう全部の章に目をは通したものの、内容をきちんと理解できているとはとても云えないので機会があれば再チャレンジしたいと考えています(とほほ)。
【2005/05/19 23:57】 論考 | トラックバック(0) | コメント(1) |
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