あなたはわたしを見ていない
見つめているのはただひとり
傍にいるわたしではなく
海の向こうにいるあのひとの姿
あなたはわたしに何も与えない
名前を呼ぶ時の優しい声も
時折向ける柔らかな眼差しも
それはすべてあのひとのもの
あなたはわたしを愛さない
愛の言葉を口にはしても
それはわたしへのものではない
わたしと同じ名のあのひとへのもの
あなたはわたしを連れて行かない
あなたの道連れはわたしではなく
白い帆をかけた船に乗る
わたしと同じ名を持ったひと
あなたはわたしを置いて旅立った
わたしが追って行けないような
海の向こうよりも遠い国へ
わたしと同じ名のひとを連れて
あなたはわたしに何も残さなかった
言葉もぬくもりもみんな偽り
ほんとうは全部あのひとのもの
それでもあなたはわたしのすべて











