剣の名誉 (ハヤカワ文庫 FT カ 2-6)
『剣の輪舞』の続篇。18年後の話になります。
読みました。すっげ面白かったぁ!
非常に豪勢なつくりの作品だったのでお腹いっぱいになりました。
伯父の命令で剣客修行をする羽目になった少女キャザリンの成長を描く、恋と友情の冒険活劇といった感じの物語でしたが、おそらく主人公よりも幅を利かせているのが狂公爵と呼ばれるトレモンテーヌ公爵アレク。
『剣の輪舞』でなんかいつも不機嫌にしていた美青年の彼が、年齢を重ねてますます偏屈な変人となって華麗に再登場ですよ。
で、彼の言動がいちいち素晴らし過ぎます。
1.姪の将来の選択を広げようと伯父の親心(?)で考えた結果、おそらくアレク以外には全く意味不明の理由(※「死神という名前ではなかった剣客」参照)でキャザリンにけっこう無理矢理剣客修行をさせる。
…かわいい奴め!
2.妹に対する愛情がなんかやたらめったら深いばっかりに、勢いあまって●●●●を決行しようとするも、見事に玉砕。
そのことを二十数年くらい(※推定)執念深くこだわっており、兄妹間のしこりにしてしまっている(主にアレクの側から)。
…かわいい奴め!
3.愛人がてんこ盛りにいる癖に、最愛の恋人が傍にいられない(※諸事情による)ことに駄々っ子のように拗ねまくる。
そんでもって最後のアレはもうふたりのグランドロマンだと思って宜しゅうござんすね?
ワタクシはそう認識しましたよ?
…ホントかわいい奴め!
ワタクシは猛烈なアレクファンではございませんが、ここまで徹底してやられると完敗です。
アレクファンの方は萌え殺されないようにお気をつけ遊ばせ〜☆
リチャードの出番は少ないですが、美味しい所は鮮やかなまでに総取りです(笑)。
まぁ、そんなキョーレツな伯父様の薫陶を受けたキャザリンもなかなか頑張ってます。
第三部のラストのところでは、なんとアレクを云い負かしていますしね。凄いよ!
そこの場面のアレクがこれまたかわ(もういい)。
きちんとした愛情を受けて育った子はやっぱり強いよなぁ。芯の部分が凄くまっとうなんで読んでいて安心します。
マーカスとの友情と云うか共犯関係(?)も微笑ましくて良いです。
このふたりが『王と最後の魔術師』の時点で至った関係は意外なようなそうでもないような不思議な感じです。
まぁ、そうなるのが自然の成り行きだったのでしょうね。マーカスが幸せならいいか。
あと、『王と最後の魔術師』を読んだ際に、なんだかんだ云ってキャザリンはジェシカに対してちょっと甘いところがあるんじゃないかなーとか思ったんですが、今回の話を読んで黒薔薇とのことがあったからなのか?と邪推してみたりしました(笑)。
少女を主人公にした冒険活劇でこれほどの作品ができるんだなぁ!とひたすら感心して読みました。
「三銃士」とか「紅はこべ」とか「ゼンダ城の虜」とかがお好きな方はきっと楽しめると思います!
でもこれらの作品よりも数段色っぽい話かも〜。
『剣の輪舞』<増補版>を再読してから読むと倍面白いかと。
時間が無ければ巻末収録の「死神という名前ではなかった剣客」だけでも再読必至ですよ!
解説の小谷真理さんのお言葉にもありますが、「公爵の死」は『剣の名誉』の後に読み返すと味わいが増すと思います。