
19世紀末のロンドンとパリを舞台に、ボヘミアのフロリゼル王子がお忍びで様々な事件に関わる話。「自殺クラブ」と「ラージャのダイヤモンド」の2篇を収録。
物語の中心になるのはフロリゼル王子ですが、視点人物は事件ごとに変わっていきます。
19世紀のボヘミアの王子ってことは、ボヘミアって概ねチェコのことだと考えるとあの時代のチェコはハプスブルク家の勢力圏だから、フロリゼル王子イコール ルドルフ皇太子ってことか?
などといらぬ推測をしましたが、訳者である南條竹則さんの解説を読むと、
「英国の首都をアラビアの都バグダッドに見立て、お忍びで夜の冒険を求めるフロリゼル王子とジェラルディーン大佐を教主(カリフ)ハルン・アル・ラシッドと腹心の大宰相になぞらえる趣向」なんだそうで。
解説によれば、どうも殿下のモデルは後のエドワード7世なようです。小説中に英国皇太子を登場させるのがはばかられるので、ボヘミアの王子となったらしい。
だもんで、作中のボヘミアは実在の国との関連は無くて、『ゼンダ城の虜』におけるルリタニアのような欧州の架空の国ってことなのね。
個人的にはフロリゼル殿下と腹心のジェラルディーン大佐(※殿下より五、六歳年下の美青年。有能)のコンビが好きだったので「自殺クラブ」の方が面白かったです。でも、2話目と3話目の大佐は気の毒過ぎる……。
あと、「ラージャのダイヤモンド」のラストは非常に不満ですワタクシ。物語的には設定がかなりゆるめなんだから、殿下にはいつまでもお忍び冒険を続けていて欲しかったなぁ〜。
どうでも良いんですが、フィリップ・プルマンの『マハラジャのルビー』(→感想)は、「ラージャのダイヤモンド」のリスペクト作品なのかな。
大筋は違いますけど、関わった人々の運命を悪い方向へ導いていく宝石って設定は同じですよねー。
あ、あと「ラージャのダイヤモンド」の一話目「丸箱の話」に出てくるハリー・ハートリー君はオトメ系男子の先駆けと云える存在だと思うので(だって秘書業よりも奥様のファッションアドヴァイザーとしての才能の方があるみたいだしさ)、最終的にはロンドンあたりでレディー向けの衣装や装飾品のセレクトショップみたいなものを開いたら大成するんじゃないだろうかと思いました(笑)。











