
『霧の日にはラノンが視える 4』
縞田理理 著、新書館ウイングス文庫 刊
いよいよ最終巻。
三巻からの続きに加えて最終巻って事で、読み手を引き付ける力が一番強かったように思いました。はっきり申しまして大満足です。この作品と出会えて本当に良かった!
物語の収束に伴って様々な謎が明かされ、ばらばらだったように思えた出来事にも関連性があった事がわかります。うっかり読み流してしまいそうなエピソードにも重要な意味があったりと、なかなか油断のならない展開でした。漫然と眺めていた絵に込み入った模様が浮かび上がって来たような不思議な驚きを味わえて幸せ。
今回一番凄いなぁと思ったのはやはり巨大ストーンサークルと《星の銀輪》でしょうか。
一巻でのラノンのヴィジョン、二巻の妖精行列も良かったのですが、インパクトの点ではやはりこの巻の《星の銀輪》が一番でした。イメージの壮大さにはただただ圧倒されてしまいましたよ。こういった大がかりな舞台装置は筆力が無いと薄っぺらく書き割りの様に感じてしまうものですが、もともとヴィジョンの使い方が印象的かつ的確な作家さんなので、その点でも申し分のない実力を見せて下さったと思います。ファンタジーファンとしてはもう骨抜きでメロメロ(笑)。読後しばらくは余韻に浸りっ放しでした。
作中でのバラッドの使い方も良いですね。一連ずつを織り込みながら盛り上げていく手法が見事でした。叶わないとはわかっていても、是非ともマクラブ夫人の歌声で聴いてみたいものです。
登場人物達がそれぞれの道を歩き出すラストは後味が良くて爽やかでした。ジャックの選択の潔さはやはり好ましいです。唐変木でお堅い彼ですが、良い意味での頑固さを持っている所が素敵。しかし怜悧な頭脳のジャックもランダルの老練さには敵わないあたりがまだまだ青くて良いですな(笑)。やっぱしランダルは喰えない人物だ〜。あと、レノックス。ちょっと残念な出来事もありましたが、幸せになれるように祈ってるから頑張れよ〜!
かなり入れ込んで読んでいたシリーズなので、完結まで読めて嬉しいのと同時に凄く寂しかったりもして。でも、ロンドンに行けばなんだか彼らに出会えそうな気がします。通りがかった花屋さんで人懐っこい微笑みを浮かべた少年を見かけたり、地下鉄のホームでガタイの良い大男とすれ違ったり。ふらりと入った古書店でヒナギクのような睫をしたお嬢さんにお会計をしてもらったりできるんじゃないかな〜、あ、勿論スコットランドでのお泊りはファームハウス希望ですよ!と色々想像(ほぼ妄想)してしまいます。私にとって彼らはそれだけ存在感があったものですから。
まだまだ読んでみたいエピソードはございますが(ランダルと先代盟主の話とかケリの御両親の馴れ初めとか)、欲を云い出すとキリがありませんので自分の中に留め置く事にしておきます(ってここに書いてりゃ世話はない)。
読んでいる間ずっとロンドンとスコットランドの空気を感じられた作品でした。ファンタジーファンには勿論、英国好き、民間伝承やケルト音楽好きな方にもお薦めかな。
傾向として全く同じではないのですが、O・R・メリングとかチャールズ・デ・リントのジャッキーのシリーズがお好きな方はお気に召すかと思うんですがどうでしょう。
ともあれワタクシはこのシリーズ大好きですんで、勝手に大プッシュかつ応援させて戴きます〜。
次回作も楽しみにしています。次はどんなお話を読ませて戴けるのかしら。












