
『カーリー 〜黄金の尖塔の国とあひると小公女〜』
高殿円 著、エンターブレイン 刊
「泣いても、いいよ」
わたしは、その目に惹かれるように顔をあげた。
「でも、目をつぶって泣いちゃいけない。どんなときでも目を開けていて。それが、きっといつかあなたを助ける。シャーロット」
黒い──でもどこか透明感のあるオニキスの両目が、わたしをじっと見つめている。その目は、わたしがいままで見たどんなものよりも美しかった。
「信じて」
その瞳に、わたしは心ごと魂を吸い取られた。
思わずふにゃっと言ってしまったわたしに、彼女は微笑み、
「かわいい、シャーロット」
耳元で吐息のように言われて、わたしは震えた。
「ずっと、そばにいるから」
──それが、わたしとカーリーとの出会いだった。
(同書 P36より引用)
主人公は赤毛のアン張りの
砂糖菓子のような甘くて淡い初恋ロマンス〜を想像していたのですが、砂糖菓子の中には弾薬が仕込まれてたよおやおやこりゃあびっくりだ!ってのが読了後の率直な感想でした。
夢見がちで引っ込み思案な少女シャーロットがインドの藩王国パンダリーコットで出会ったのは、彼女の生き方をを大きく変える人物だったってのが話の大筋なのですが、ロマンスの王道を爆走しながらもそれだけに終らず、今後の主人公の大きな成長を期待できそうな雰囲気なので今後の展開が非常に楽しみです。
アムリーシュとシャーロットの関係やシャーロットの母親の謎も気になりますけど、作中での世界情勢の流れから云ってシャーロットたちよりも実はミチルやヘンリエッタの事のほうが心配だったりしますよ……。
何にしても続き! 続きを早く読みたいです!!
ちょっと気になったのは作品のキャッチコピー。
舞台となる英国領インドが100年前の英国を彷彿とさせる時代錯誤の中に置かれているってのは作中で語られてはいるのですが、第二次世界大戦直前(ドイツのポーランド侵攻の話とか出てくるし)の世界情勢で「ヴィクトリアン・ラブ・ストーリー」と云われてもちょっと戸惑ってしまいます……。
むしろ、チラシにあった「オリエンタル・ロマンス」の方が相応しいと感じましたがどうなのだろう……。
細かいことを気にしすぎですかワタクシ。












