信長あるいは戴冠せるアンドロギュヌス
posted with 簡単リンクくん at 2006. 6.10
宇月原 晴明著
新潮社 (2002.10)
通常24時間以内に発送します。
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剣の神官である織田一族は常にスサノオの記憶と共にあった。
象徴的であろうとなかろうと、このような土地の伝説由緒の類は、すべての象徴と同様に、だが逆の方法で、最も厳密かつ明白な真実を隠しつつそれを白日の下に曝け出す。
(中略)
エラガバルスはアスタルテと兄妹であり、アマテラスはスサノオと姉弟であった。ふたつの原理は一者から分離したものであり、そうであるからこそ、再び一つになろうとするのだ。シリアでは兄は妹と交わり、日本では弟は姉と交わり、そこからすべてが創造されていく。
何もかもを生み出す一者の子宮たる渾沌(カオス)は、ただ近親相姦の汚れた血の沸騰だけが作り出せるのだ。そのアナーキー、至高の魔術的段階は文字通り血と炎にまみれる。日本の神話が教えるように、弟と姉の交接は、武装した二人の戦闘としてなされるからだ。太陽と月との、天と海とのハルマゲドンが、統一のための詩(ポエジー)と化す。ランボーが海に溶け合う太陽に見つけた、永遠のように。
(同書 P9〜10より引用)
ヘリオガバルスと信長とヒトラーを関連付けるって凄いことをやってのける方だなぁ、そんな突拍子のない設定に果たしてついていけるのかしら自分……と少々腰が引けておりましたが、冒頭から引き込ませる語りの見事さにしてやられたってな感じでしょうか。
著者は普通に歴史小説を書いても充分面白いものを読ませてくれそうな。
戦国時代パートは伝奇的な設定を脇に置いても(いやそこが肝なんですけど)、充分面白かったです。
日本史中の出来事を他国の読み手に説明する際の明晰さや、物語に神器を絡ませる手法はデビュー作からのものなのですね。
『聚楽 太閤の錬金窟』も買おうかなー。













