読む順番が逆になってしまいましたが、若だんなのシリーズ第6弾。
収録作は以下の通り。
「鬼と子鬼」
通り町一体を襲った火事が原因で、とうとう三途の川の傍まで来てしまった若だんな。
袖の中に紛れ込んでいた家鳴やお獅子だけでも現世へ帰そうと、道連れになった少年冬吉と共に賽の河原で奮闘するのですが……。
若だんなとちゃきちゃきした冬吉のやりとりが微笑ましくて大好き(笑)。
若だんなのあまりの天然ぶりに自分がしっかりしないと!と決意する冬吉は本当に良い子ですね。
その一方で、末松の気持ちが不憫でなりませんでした。彼がきちんと向かうべき場所へ行けると良いなと思います。きっと大丈夫だと思いますが。
「ちんぷんかん」
上野の広徳寺で妖退治を請け負う僧、寛朝の唯一の弟子である秋英が、師匠の命で和算の教本をめぐる厄介ごとに巻き込まれることになり……。
秋英くんと妖の和算合戦の小気味よさと寛朝の大物振りが楽しい一篇でした。
「臨機応変、変幻自在、縦横無尽、馬耳東風。いやいや、人に与える助言は、それぞれ違うものだ」(P105)って台詞が寛朝のおおらかさをよく表していますね。
そんな師匠の包容力の下で、秋英くんがどんどん成長していけばいいな。
んで、そのうち師匠につけつけと物を云えるようになると良いと思うよ!(笑)
「男ぶり」
若だんなの両親の馴れ初め話。
途中の展開にちょっと不安になったものの、かなり甘めな話かも。
つか、何よこのラヴラヴ振りとおのろけは!
読んでいてちょっと悶絶しました(笑)。
「今昔」
若だんなの異母兄松之助の縁談話が、陰陽師や式神と奇妙な関わりを持つことになってこじれてしまいます。縁談の行方はどうなってしまうのか、玉乃屋の姉妹との関係はどう決着がつくのか。そんな中、若だんなにも式神が襲いかかり……とハラハラし通しな一篇。
飄々としていた貧乏神の金次が最後に見せた表情に神としての迫力を感じました。
貧乏神でもやっぱり神は神なんですよね。
「はるがいくよ」
縁談が決まって長崎屋を出て行くことになった松之助。良いことだとはわかっていても、それで寂しさが減るはずもなく、若だんなは元気がありません。
そんな時に桜の花びらの妖の赤子に出会い、その成長を見守ることになりますが……。
これは本当に切ない話でした。
いつまでも一緒にいたいと思っているのに、置いていかれることがわかっていて、それでもなお心を配らずにはいられない、そんな見送るものの立場の痛切な哀しみが伝わってきて、読後しばらくぼんやりしてしまいました。
ラストの余韻を含めて忘れられない佳品です。
正直、こちらの本を先に読んでいたら、もうそろそろシリーズ終盤なのかと考えてしまいそうですが、7冊目を読んだ限りではそうでもなさそうなので良かったなぁ。
やっぱり若だんなたちとはまだ別れたくないです。